中西整形外科

岡崎市の整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科 中西整形外科

〒444-2137 愛知県岡崎市薮田2丁目11-11
TEL 0564-22-1112

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診療案内

骨軟部腫瘍ってなに

骨軟部腫瘍は聞きなれない言葉と思います。

発生率が少ないため、一般整形外科では経験ある医師も少ない状況です。詳細な説明を聞きたい場合は、予約して受診してください。



 

1.原発性骨腫瘍

A:【良性】

■線維性骨異形成症

子どもでも、成人でもみられ、どこの骨にも発生します。放置してもかまいませんが、特に股関節付近に生じた場合、及び病変部で骨折を生じた場合には治療の対象となります。当科にも年間10人程度の患者さんが受診しますが、手術になるのは数年に1人ぐらいです。治療は骨変形が生じる前に行うことが大切で、その手段として骨の弱い部分を金属棒やプレートで補強し病巣部を除去することは必ずしも行いません。ただし、下腿骨の脛骨に同様の病変が生じて、骨化性線維腫と呼ばれる形をとるものがあり、この病変は時にアダマンチノーマという悪性度の低い肉腫成分を認めることがあります。この場合は安全を期し病巣を完全に切除します。また、線維性骨異形成症は、皮膚のカフェオレ色の母斑、ホルモンの異常(多くは性早熟)を伴って多発性に発現することがあります。このような病態をアルブライト症候群といい、骨変形や二次的悪性腫瘍(骨肉腫など)が生じることがあるので定期的な診察が必要になります。


■骨嚢腫

上腕や大腿骨、骨盤に発生し、高率に病的骨折を生じます。かつては、掻骨移植(病巣の掻き出しと骨の移植)が標準的な手術方法でしたが、最近では骨穿孔や腫瘍の減圧を行うピンの刺入のみでかなりの症例が治癒することが知られ、数回の再発例のみに人工骨の移植を行っています。


■内軟骨腫

手指の骨に好発する、全くの良性腫瘍です。病的骨折を生じるまでは、ほとんど無症状。ただし、長管骨に発生した場合、稀に中年期に悪性化することがあるので、経過観察が必要です。


■骨軟骨腫

外骨腫ともいう。長管骨の骨端に多発性の骨の隆起を生じる。骨の成長障害を伴うことが多く、機能的な障害が出た場合や、外見上の問題が生じた場合は切除を行います。家族性、多発性に発生することも多く、この場合、一般に体格は小柄で、極端な場合は成長ホルモンの検査が必要です。まれに中年期に悪性化することがあり、腫瘍が急に増大した場合は精査が必要です。


■類骨骨腫

この腫瘍は痛みが強く、特に夜間に強いため不眠を訴える患者さんもいます。レントゲンでは病巣周囲の広い範囲に強い骨形成があり白くなって見えます。そのほぼ中心部に骨吸収を伴う丸い病巣があります。この病巣のみ掻爬か切除を行い、骨欠損部には自家骨あるいは人工骨を移植します。


■骨芽細胞腫

類骨骨腫と似た腫瘍ですが、小児の背骨に生じることの多い腫瘍で、類骨骨腫よりも大きく骨膨隆像を認めます。顕微鏡の所見では類骨骨腫と区別できません。治療は病巣部の十分な掻爬か切除を行います。骨欠損が生じれば適宜自家骨や人工骨移植します。


■軟骨芽細胞腫・軟骨粘液線維腫

肩関節や、股関節の骨に骨吸収を伴った境界明瞭な病巣を形成します。通常痛みなどの症状が生じて発見されますので、骨折の予防と診断確定のために手術を行います。治療は病巣の掻爬と自家骨、あるいは人工骨移植を行います。


■骨内ガングリオン

関節の近くの骨が円形に欠けた所見を示します。骨吸収部には薄い膜があり、その中にはゼリー状の液体が溜まっています。多くは治療をせず様子を見ますが、手術を行う場合は掻爬、骨移植を行います。


■好酸球性肉芽腫

頭の骨や骨盤の骨に吸収像を示す病変ですが、手足に生じることも少なくありません。骨折が危惧される場合は掻爬骨移植を行いますが、たいていは、生検を兼ね簡単な掻爬を行うだけでやがて自然治癒します。孤立性と多発性の場合があり、多発性で他の病変を伴う場合はヒスチオサイトーシスXと呼ばれる場合もあります。多発性骨変化にホルモン異常や尿放症を合併する場合や、さらに重篤な内臓障害を伴う例が存在します。



B:【悪性】

■骨肉腫

悪性骨腫瘍の代表ですが、最近の小児人口の減少により、頻度は100万人に3~4人ぐらい(周辺の人口を含めた愛知県の発生頻度は、年間15~20人程度)に頻度が減少しています。かつては不治の病(2年生存率10%程度)とされていましたが、現在では強力な化学療法の成果により、初診時に遠隔転移がない場合、5年生存率60~70%程度ときわめて良好な治療成績となっています。


■軟骨肉腫

30代~40代に好発します。特に、大腿骨と上腕骨が多い。進行は骨肉腫に比べて遅いが、進行例や肺転移に対しては化学療法や放射線療法の感受性が低いため、治癒率はむしろ低い傾向にあります。脳転移も多く、腫瘍塞栓による肺梗塞も起こりやすい。年間発生は、愛知県下で3~5人程度です。


■Ewing's肉腫

10代前半の小児に発生する極めて稀な腫瘍です。年間発生は、愛知県下で2~3人程度。きわめて予後不良の腫瘍とされておりましたが、放射線、化学療法によく反応することが判明、現在では治癒にいたる症例も少なくありません。


■骨巨細胞腫

病理学的には良性であり、手術のみで対応すべき疾患ですが、不充分な切除では再発率が高く、また肺転移も起こりうるため、悪性腫瘍に入れておきたい腫瘍です。当科では関節を可能な限り温存するため病巣をしっかり郭清して、骨セメント、人工骨で補填することを原則としています。


■脊索腫

中年以降の仙骨に生じる悪性腫瘍で、症状が少なく来院時に巨大になっている事が多く難しい手術が必要となる腫瘍です。治療は、切除ですが腫瘍が大きい場合は人工肛門などを併用しなければなりません。そのためできるだけ早期に発見し手術を行うことが大切です。お尻の周りにいつも痛みやしびれを感じる場合は一度、整形外科に受診されることをお勧めします。



 

2.原発性軟部腫瘍

A:【良性】

■血管腫

整形外科で扱うものは、筋肉内のものです。発生部位の性格上、運動に伴う腫脹と、運動後痛を特徴とします。単純な摘出でよいものと、血管奇形を伴い、準広範切除で対応するべきものとがあります。逆に痛みがない場合には特に処置を要しません。


■脂肪腫

成人に多い柔らかい腫瘍です。腫瘍が浅いところに生じた場合は柔らかに触れますが深いところに生じると堅く触れることもあります。美容的に問題がなければ手術の必要は有りませんが、腫瘍が大きな場合は脂肪肉腫の可能性があり手術的に摘出する前に腫瘍の専門医を受診した方が無難です。


■脂肪芽細胞腫

幼児や小児の脂肪腫と似ている良性腫瘍です。画像は通常の脂肪腫と異なりますが、臨床的には通常の脂肪腫と同じ経過を示し、手術の適応も脂肪腫と同じです。


■神経鞘腫

神経の中に発生する腫瘍です。手術で神経を障害にないためには、腫瘍を取り巻く神経を保存し腫瘍に連続する神経線維のみを切離し腫瘍を摘出することが大切です。


■神経線維腫

思春期頃より皮膚の多発性腫瘤とカフェオレ状の色素斑を伴い発症してきます。多発性に発生する場合はレックリング・ハウゼン氏病と呼びます。腫瘍が大きな神経に生じた場合、神経鞘腫とは異なり神経に障害なく切除することはできません。そのため、手術は日常生活に不自由が生じた部位に限り行います。中年以降、悪性腫瘍が発生する可能性があります。


■滑膜性骨軟骨腫症

関節内に大小様々な球状の軟骨組織が増殖している病変です。滑膜組織の中から発生し関節の中であたかも真珠の様に大きくなります。この固まりが関節の間に挟まると強い痛みが生じます。治療は骨軟骨腫の摘出です。良性ですから痛みがなければ手術を急ぐ必要はありません。


■腱鞘巨細胞腫・色素性結節性絨毛滑膜炎

手や足の腱周囲の腱鞘滑膜内に生じたものには前者の名称、膝や股関節など大きな関節内に生じているものには後者の名称が使われます。しかし、本態は同じ病変と考えられています。前者の治療は摘出で十分です。後者の場合は、原因不明の関節内血腫を長期に訴えていることが多く、このような場合は一度専門医を受診することをお勧めします。診断に時間がかかることが多いため腫瘍の浸潤は靭帯の付着部から骨内に及んでいることが少なくありません。この場合通常の腫瘍摘出では再発を繰り返す結果となり、場合によっては人工関節置換などを考慮する必要が生じてきます。


■デスモイド

若年者から40歳くらいまでの患者さんにみられる腫瘍です。発育が緩徐なため気づくのも遅く発見時に10~20センチの大きさに達していることも少なくありません。診断の決め手は針生検・細胞診を含む組織検査です。治療は手術による切除が原則です。腫瘍は良性ですから悪性腫瘍のように広範切除を行う必要はなく、血管や神経など重要な組織が腫瘍に接する場合はまずそれら組織を腫瘍から剥離しその保存を図った上で、腫瘍を取り残さないように切除を行います。しかし、このような場合、再発を繰り返すことも少なくありません。再発した場合は、経過を見ながら根気よく再手術を行います。多くの場合は数度の手術で再発性が低下します。これには患者さんの加齢やホルモン環境の変化も関与していると指摘されています。



B:【悪性】 軟部腫瘍全体の約1%を占めます。

■MFH(悪性線維性組織球腫)

軟部悪性腫瘍の代表。比較的高年齢者に多く、愛知県内で年間30人程度は発生しているものと思われます。化学療法には感受性が少ないが、一部の高悪性度のものには有効なことがあります。大腿の内側に発生することが多く、軟部肉腫との認識がないまま放置され、かなり大きくなってから受診してくることが多い腫瘍です。


■脂肪肉腫

発生頻度のもっとも多い軟部悪性腫瘍です。手術がほぼ唯一の治療法で、広範切除によりほぼ80%の治癒が期待できます。ただし、不完全な手術では、局所再発したり、肺や腹腔に多発性の転移を生じることがあるので、術前に専門家の画像診断が必要です。


■滑膜肉腫

MFH、脂肪肉腫に次いで頻度が高い。以前は、手術のみが治療の手段とされていましたが、3年生存率は圧倒的に低く(50%程度)、術前、術後化学療法が必須と考えられるようになってきております。


■神経肉腫

神経線維維腫(レックリングハウゼン氏病)に合併するものと、それに関係なく発生する場合があります。レックリングハウゼン氏病の患者さんに急に大きくなる腫瘍が生じたらまずこの疾患を疑うべきです。


■横紋筋肉腫、PNET

頻度はきわめて少ないが化学療法、放射線療法が著効する特殊な腫瘍で、現在では治癒にいたる症例も少なくありません。


■その他

血管肉腫、平滑筋肉腫など。